地球の鼓動に耳をすませば
-東海大学新聞連載コラムー

(9)オホーツク海の海氷分布変動

長 幸平
東海大学総合科学技術研究所
地球情報調査室長

 毎年、冬になるとオホーツク海に海氷が張り出します。11月頃に遠くサハリン島の北方で結氷が始まり、海氷は徐々に成長しながら南下し、2月頃にはオホーツク海のほぼ全域を海氷が覆います(画像参照)。今年は1月末に北海道沿岸に接岸しました。オホーツク海の海氷は北海道の冬の風物詩になっています。
 近年、このオホーツク海の海氷の減少傾向が指摘されており、温暖化との関係が取り沙汰されています。地球の温暖化が進んだ場合、その傾向は雪氷域に顕著に表れると言われています。これは、雪や氷が通常、太陽放射を強く反射するのに対し、融けて地面や海面が現れると太陽熱が吸収され、地球の温度をさらに上昇させることになるからです。このため、雪氷域は温暖化の観点からも重要な観測対象となっています。
 私たちは地球観測衛星のデータを用いて広大なオホーツク海の海氷分布変動を解析しています。グラフは衛星データから算定した1979年以降約20年間のオホーツク海の海氷面積の経年変化です。海氷が冬に広がり、夏に融けてなくなる毎年の規則正しいパターンはまるで地球の鼓動のようですが、全体として減少傾向が認められます。私たちはこうした「地球の鼓動」に耳を傾け、地球の健康状態の診断に役立てたいと思っています。

 地球情報調査プロジェクトHP:http://www.tric.u-tokai.ac.jp/research2/jindex.htm

東海大学新聞掲載日

2002220  

 禁無断掲載 C 学校法人東海大学新聞編集委員会

戻る

Update: 2002.2.20
E-mail: kcho@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp