地球の鼓動に耳をすませば

-東海大学新聞連載コラムー


(6)地磁気の変動とオーロラ

利根川 豊
海大学工学部航空宇宙学科教授

 地球の磁場が地球生命防衛の最前線で大切な役割をしているのをご存知でしょうか。太陽は光や熱以外にも、高速の陽子や電子の流れである太陽風を放出しています。太陽風の速度は通常でも秒速数百q、時には千qを越える猛烈な勢いで地球周辺に吹き付けています。言い換えると、惑星間空間は生命に有害な放射線で満ちていると言えます。
 
一方、地球は大きな磁場を持っていますので、荷電粒子の流れである太陽風は遥か上流側で磁場によって堰き止められています。地球磁場が私達への太陽風直撃を防いでいるわけです。
 また太陽風は、地球磁場で流れを変えるときに大規模な発電作用、太陽風発電を行います。その電力で生じる様々な電磁現象が、地球周辺の宇宙環境を作り出しています。その一つがオーロラ現象となって現れます。オーロラは宇宙規模の放電現象なのです。昨年から太陽活動が大変活発な時期になっています。写真は昨年九月に本学の大学院生がアイスランドでのオーロラ観測で撮影したものです。グラフは稚内に設置された本学の磁力計で同時刻に観測された地磁気の微少振動です。
 このように地球の裏側で発生したオーロラを地磁気の変動として捉えることができます。その他にも宇宙空間の様々な現象地磁気変動として観測することができます。私たちは日本各地に設置した磁力計でこうした地磁気の微少変動を観測し、宇宙環境の解明に役立てています。

  

 地球情報調査室HP:http://www.tric.u-tokai.ac.jp/research2/jindex.htm

東海大学新聞掲載日

20011120

 

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Update: 2001.11.20
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