地球の鼓動に耳をすませば
-東海大学新聞連載コラムー

(44)「最大余震」?それとも「双子地震」!?

馬塲久紀
東海大学海洋研究所助教授

 インドネシア・スマトラ島沖のインド洋で、3月28日深夜(日本時間29日午前1時10分)に再びM8.7(米地質調査所による)の大地震が発生しました。昨年12月26日にM9.0という巨大地震が発生し,大津波による被害が癒えない矢先の地震です。幸い今回の地震は、前回のように大きな津波を伴わなかったのですが、地震による建物の倒壊が発生したため、たくさんの死傷者が出ています。2度続いたこれらの地震では、その関係について物議を醸しだしています。大きな地震(本震)が発生すると必ず余震が発生します。そこで米地質調査所では、今回の地震は「まれに見る大規模な余震」という見解を述べました。しかしその一方、英研究グループでは、「余震ではなく双子地震」であると報告しています。この物議は今後の余震活動で次第に明らかになるでしょう。
 
そもそも余震とは、本震の後にたくさん発生する小さい地震のことで、余震の中で最も大きい最大余震は、本震よりM1程度小さくなります。しかし双子地震とは、二つの地震の規模に大差が無く、本震と余震との特徴に当てはまらないような双発地震のことを指しています。日本では、過去連続して発生した「安政東海地震(M8.4)」や「安政南海地震(M8.4)」は、典型的な双子地震と考えられています。万一、身近で被害を伴う大地震が発生したら、まず最大余震が90%の確率で10日間以内に発生し、そして1年程度の間には双子地震が発生する可能性があることを是非心がけましょう。

 
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東海大学新聞掲載日 2005年3月20
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Update: 2005.3.20  E-mail: