地球の鼓動に耳をすませば
-東海大学新聞連載コラムー

(42)北極と南極でオーロラの形や現れ方は同じ?

佐藤夏雄
国立極地研究所教授

 南極の昭和基地はオーロラ帯の真下に位置し、オーロラ観測をするのに絶好の場所です。さらに、昭和基地の地磁気共役点(地球の磁力線で結ばれた南半球と北半球の地点)がアイスランドに位置するといる好条件も備えています。この利点を利用した共役点観測は、国立極地研究所とアイスランド大学との国際共同研究として、一九八四年より継続的に実施してきています。
 二〇〇三年九月二十六日に、過去二十年の共役点観測の歴史の中で最も良く似た共役性オーロラが観測されました。ここに示す画像は、全天のオーロラが一枚の画像の中に収まるように、魚眼レンズを装着した高感度白黒テレビカメラで撮影したものです。この画像から、オーロラの発達の様子や形状・構造が昭和基地とアイスランドで非常に良く似ていることがわかります。このように似ているオーロラが現れたのは、昭和基地とアイスランドが磁力線で結ばれていることを示す観測的証拠でもあります。オーロラの共役性に関する研究は、オーロラの対称性・非対称性を比較し、その原因を明らかにすることにより、オーロラ粒子の加速域や加速に及ぼす電離圏環境の役割など、オーロラの発生領域や発生機構の解明を目指しています。

アイスランド(上段)と昭和基地(下段)で同時観測されたオーロラの全天カメラ画像。
図の上方向が地磁気極点方向、右が東方向。
 
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東海大学新聞掲載日 2005年2月20
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Update: 2005.2.20  E-mail: