地球の鼓動に耳をすませば
-東海大学新聞連載コラムー

(41)地球深部探査船「ちきゅう」

佐柳敬造
東海大学海洋研究所助教授
地震予知研究センター

 海底下2111m、これが海底における科学掘削で到達した最大深度です。この記録を一挙に7000mまで伸ばす能力をもつ掘削船が我々の前に姿を現そうとしています。地球深部探査船「ちきゅう」です。全長210m、幅38m、総トン数57500トンという巨大な船には、高さ92mの掘削用のデリック(やぐら)が搭載されています。この上部にあるトップドライブは、最長10000mのドリルパイプを回転させることができます。さらに、科学掘削に初めて導入したライザー掘削システムと噴出防止装置によって、従来難しかった場所や深さの掘削が可能となりました、また船上の研究室には最新の観測機器が並び、まさに海に浮かぶ研究所と言えます。
 このように世界最高の科学掘削船である「ちきゅう」と、米国、欧州それぞれの掘削船を用いて、地球環境変動や地震発生メカニズム、地殻内生命などの研究に取り組んでいる国際プロジェクトが、統合国際深海掘削計画(IODP)です(2003101日開始)。この中で、地震発生帯やマントルまでの掘削能力をもつ「ちきゅう」の役割は非常に重要です。東海大学では、国際的には中央管理組織(IODP-MI)と国内では日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)の会員としてこれに積極的に関わっています。教員はもちろんのこと、これからの科学を担う学生の参加が大いに期待されています。

 

200412月、海上公式試験運転中の
「ちきゅう」(海洋研究開発機構提供)

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東海大学新聞掲載日 2005年1月20
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Update: 2005.2.1  E-mail: kcho@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp