地球の鼓動に耳をすませば
-東海大学新聞連載コラムー

(40)理科教育における教師の役割

長 幸平 
東海大学第二工学部

情報システム学科教授 

最近、高校で理科系の科目を履修しない生徒が増えています。日本学術会議の資料によると、現在、高校生の物理の履修率は12%程度だそうです。簡単に言うと、大学に入ってくる学生の9割近くが高校で物理をぜんぜん勉強していないことになります。大学の工学部の教員にとってはちょっと恐ろしい数字です。しかし、考えてみると、最近、実験などで電気の基礎を知らない学生や、データの単位を気にしない学生が増えてきていることに思い当たります。
 そんな中で、7月の末、長野県茅野市にある東海大学付属第三高校に、私の専門であるリモートセンシングの出張講義に行ってきました。大学と中学や高校が連携して理科教育を行う文部科学省のサイエンスパートナーシッププログラム(SPP)の一貫です。最近の高校生の理科離れはどうだろうかと思って行ったのですが、第三高校は物理が必修だと聞かされ、まず感心させられました。しかし、もっと感心させられたのは、理科の先生方の熱意です。出張講義では、座学に続き、野外で生徒たちと草地やグラウンドの分光反射特性を測定したのですが、ふと見ると、生徒たち以上に目を輝かせて観測データを確認している先生方の姿がありました。こういう先生方に理科を習っている生徒達なら理科離れの心配は無いなと思いました。私も大学の講義でいつも目を輝かせて話をしていたか、ちょっと気になりました。

観測データを確認する生徒と教員

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東海大学新聞掲載日 2004年1220
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Update: 2005.1.1  E-mail: kcho@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp