地球の鼓動に耳をすませば
-東海大学新聞連載コラムー

(35)地球温暖化って何?

早坂忠裕
総合地球環境学研究所教授

 地球温暖化という言葉をよく耳にします。暖冬だったり、桜の開花が早まると、「これも温暖化のせい?」と思う人も多いことでしょう。実際、図に示すように地球全体の平均気温は少しずつ上昇しています。でもちょっと待ってください。過去140年間で、わずか0.6℃ぐらいの上昇です。なぜ大きな問題になるのでしょうか?
 それは、地球温暖化問題は気候変動の問題であるからです。急激に拡大する人間の活動が地球の気候を変化させるという問題です。地球の気候は、様々な時空間スケールで複雑に変化しています。地球全体でみればそれほど大きな変化ではなくても、ある地域では気温や雨の降り方が大きく変化する可能性があるのです。北海道にも梅雨の季節が来るかもしれません。
 もう一つ、問題の鍵を握るのは、時間スケールではないかと思います。たとえば、1万年先に海面水位が1メートル上昇するという場合には誰も気にしないでしょうし、逆に、毎年10センチずつ上昇していれば、議論している暇はなく、目の前の現象に急いで対策を取らざるを得ません。地球温暖化問題の本質は、おそらく、我々ひとりひとりが生きている間、すなわち数十年から100年程度の間に、今まで経験したことのない大きな変化が起こることに対する漠然とした不安なのかもしれません。
 グラフを見ながら地球温暖化について、もう一度、考えてみて下さい。


19611990年の平均値からの差)

過去140年間の全球平均気温の変化(IPCC2001年報告書より)

 

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東海大学新聞掲載日 20046月20
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Update: 2004.6.1  E-mail: kcho@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp