地球の鼓動に耳をすませば
-東海大学新聞連載コラムー
利根川 豊
東海大学工学部
航空宇宙学科教授
このところ太陽の活動が非常に活発です。先月二十二日には太陽表面から大量の高エネルギー粒子が激しく放出されるコロナガス放出現象が観測され、二十四日には一つの黒点群が木星ほどの大きさまで巨大化しました。
黒点群周辺では、その後次々とフレア(太陽表面爆発)が頻発しています。それらは秒速千キロメートル以上の太陽風津波となって約一日後に地球に押し寄せ、様々な現象や影響を引き起こしています。人工衛星に相次いで不具合が発生し、地球観測衛星みどり二号の故障原因となった可能性も指摘されています。
北海道では二十九日から十一月一日にかけて肉眼で確認できるほど明るい赤いオーロラが何度も見られました。長野県や滋賀県でもオーロラ光が観測されました。これらは、今回の太陽風津波と地球磁場の相互作用で生じた記録的な大磁気嵐の一連の現象なのです。
下のグラフは、東海大学が熊本と西表島に設置している磁力計が捕らえた十月三十一日の地磁気変動です。通常の数十倍の大きさで、磁場が乱れていますが、その中に周期十分ほどの大変美しい波形を発見しました。こんな現象は初めてです。これからの詳細な解析が楽しみです。
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人工衛星SOHOが撮影した10月31日の太陽 | |
大磁気嵐に伴い熊本と西表島で観測された大振幅磁気脈動 |
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東海大学新聞掲載日 2003年9月20日 |
禁無断掲載 C 学校法人東海大学新聞編集委員 |
Update: 2003.11.20 E-mail: kcho@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp