地球の鼓動に耳をすませば
-東海大学新聞連載コラムー

(24)アジア大陸の大きな河川

坂田 俊文
東海大学 教授
(財)地球科学技術総合推進機機構 理事長

 前回に引き続き、アジア大陸の地形について考えてみよう。約6500万年前の白亜紀の終わり頃は、地球上に様々な地球規模の変動があった。特にユカタン半島に直径10kmほどの大隕石の落下によって地球全体に引き起こされた気候の激変は恐竜の死滅を引き起こしたと考えられている。
 
また、インド亜大陸のユーラシア大陸への衝突はヒマラヤ山脈を造り上げた。その形はユーラシア大陸に円弧状の屏風ができ、アジアモンスーンの雲の動きは北から東へと変わり、水の供給のパターンをも変えた。この造山運動はユーラシア大陸の縁に大きな力が加わり、歪みを与えて地形の皺を作った。その皺はインド亜大陸の西端はアフガニスタン側に、東端は中国雲南省側の山脈に見られる。
 
ヒマラヤを越えた北側のチベット青海高原をみると、アジアの大河である、黄河、長江、メコン川の河源がこの地域に分布し、雲南省の南端から放射状に広がる亀裂に沿って河川が形成されている。地図を見ると、北の黄河から時計廻りに長江、メコン川そしてヒマラヤ山脈の縁を西に向かって流れるプラマプトラ川まで放射状に拡がっているのがわかる。アジアの農業はこれらの川の流域にあって、このヒマラヤ山脈とチベット高原の気象が重要な役割を果たしているわけである。

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東海大学新聞掲載日 2003520
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Update: 2003.8.25  E-mail: kcho@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp