地球の鼓動に耳をすませば
-東海大学新聞連載コラムー

(18)ADEOS2衛星への期待

長 幸平
東海大学第二工学部情報システム学科
教授

12月14日、環境観測技術衛星ADEOS2が宇宙開発事業団によって打ち上げられました。ロケットの打ち上げシーンをテレビでご覧になった方も多いでしょう。この衛星には5種類のセンサが搭載されており、多角的な地球の環境観測が行われる予定です。これらのセンサの中で私が特に期待しているのが、高性能マイクロ波放射計AMSRです。
 このコラムの第9回(本年2月20日掲載)で紹介したオホーツク海の海氷面積の経年変化グラフは、米国の衛星に搭載されたSSM/Iという同種のセンサのデータから作成したものです。マイクロ波放射計は雲を透過するため、天候に関わらず、海氷分布などの地表の状態を観測できます。ただこの種のセンサの難点は、分解能が悪いことです。SSM/Iの場合、約25kmの分解能しか得られませんでした。それが今度のAMSRでは約10kmに分解能が向上します。実際の観測が始まるまでにはもう少し時間がかかりますが、早くくっきりしたオホーツク海の海氷分布画像が見たいものです。
 本年9月に本学工学部光工学専攻の博士課程を修了した中山雅茂君は、この10月から宇宙開発事業団の特別研究員に採用され、
AMSRの海氷プロダクトの検証を担当することになりました。大学での彼の研究が役に立ちそうです。頑張ってもらいたいですし、われわれも研究面で協力していきたいと思っています。

     ADEOS-U衛星(宇宙開発事業団提供)

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東海大学新聞掲載日 20021220
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Update: 2003.5.6  E-mail: kcho@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp