地球の鼓動に耳をすませば
-東海大学新聞連載コラムー
佐々木 政子
東海大学総合科学技術研究所
教授
ここ数年、十月になると新聞各誌は「南極上空のオゾンホール過去最大」と報じてきました。しかし、今年は状況が違います。米国時間九月三十日に米国海洋気象局(NOAA)と米国航空宇宙局(NASA)は、今年のオゾンホールは、過去六年間の平均値の約三分の二の大きさで、しかも二つに分裂していると発表しました。
オゾンホールとは、南極上空で南極の春九〜十月に成層圏オゾンが著しく減少する現象で、有害紫外線の増加指標の一つと捉えられてきました。オゾンホール縮小すなわち有害紫外線の減少、これで一安心と早とちりされそうですがこれは違います。今年のオゾンホール縮小は、地球温暖化による南極上空の大気状態変化に原因があると説明されました。地球温暖化はついに南極上空の大気変動にまで影響するという新たな局面を迎えたと言えるでしょう。
現在もフロンガスによるオゾン層破壊は進行中で、有害紫外線UV-Bは依然増加傾向にあります。本プロジェクトの十年間の計測結果もこれを裏付けています(図)。オゾン層破壊は二〇五〇年までは継続すると予測されており、私たちは今後も油断無く有害紫外線の計測を続けていく必要があります。
太陽光中のUV-Bの増加傾向
地球情報調査プロジェクトHP:http://www.tric.u-tokai.ac.jp/research2/jindex.htm
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Update: 2002.10.20 E-mail: kcho@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp