地球の鼓動に耳をすませば
-東海大学新聞連載コラムー
佐々木政子
総合科学技術研究所 教授
太陽がまぶしい季節が今年もやってきました。私たち人間だけでなく、動物も樹木も草花も日陰がほしい季節です。私達が海や山に出かけるのも酷暑からの逃避行動の一つです。夏、発汗とともに私たちの体力を消耗させるのは太陽光の中の熱線(赤外線)です。快適に夏を乗り切る秘訣は二つ。第一は紫外線による日焼け防止対策、第二は熱線による暑さと日射病対策です。太陽光には太陽方向からくる直射光成分と、大気中の分子やエーロゾル、雲などにぶつかって飛び散り太陽の方向以外からくる散乱光成分があります。東海大学光環境計測システムT-SORMOS
(Tokai
Solar Radiation Monitoring
System)は、太陽から地上に届く熱線を含む日射と紫外線(UV-AとUV-B)のそれぞれについて、直射光と散乱光を測定できる仕組みを備えています。写真は直射光をカットして散乱光を測定するための遮蔽バンド付の日射計です。この装置を使って、日射と紫外線について直射光と散乱光の割合を測定しました。日射は快晴日には約90%が直射光です。一方、紫外線は快晴日でも50%以上が散乱光で、年間を通しても80%以上が散乱光であることが分りました。
日射は、日傘、帽子、衣服で完全にカットできます。しかし、日焼けの元凶、紫外線のカットにはさらに一工夫が必要です。紫外線防御対策の基本は、直射光だけでなく、散乱光に配慮し、素肌を太陽光にさらさないことです。紫外線の強い日中の外出には、着衣、つば広帽子、サングラスに加えて、日焼け止めクリームがお勧めです。
地球情報調査プロジェクトHP:http://www.tric.u-tokai.ac.jp/research2/jindex.htm
|
||
戻る |
Update: 2002.5.20
E-mail: kcho@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp