地球の鼓動に耳をすませば
-東海大学新聞連載コラムー

(12)大地震が頻発する南西諸島

馬場久紀          
総合科学技術研究所助教授

 このコラムで1月に,南西諸島南部の与那国島近海で2001年12月18日に発生したM7.3の地震を取り上げたばかりですが,今年の3月 26日にも石垣島南方沖でM6.9の地震,さらに3月31日には台湾付近の海域でM7.3の地震が発生しました.台湾付近の地震では,台湾の工事現場が崩れて5人の死者が出ました.八重山群島の地域でも津波警報が発令され,津波による被害は無かったものの,度重なる大地震に地域住民の不安は高まっています.
 気象庁では日本周辺の地震を常時監視しており,地震が発生すると速やかに震源,各地の震度等を特定し,地震情報を発表します.しかし南西諸島では,気象庁の気象台・測候所・観測所の数が本州に比べると実は大変少なく,そのためこの周辺で発生する地震については,あまり高い震源決定精度が期待できないのが現状です.
 一方,東海大学はこの地域に重点的に地震計を配した地震観測網を展開しており,今回の地震活動の推移も明瞭に観測されました.図1は,本学の地震観測網によって得られた2001年1月以降の地震の震央分布です.この図を見ますと,今回発生した地震以外にも西表島や西表島近海,台湾北東部にたくさん地震が発生していることが分かります.私たちの研究グループでは,これらの観測データを気象庁に随時提供し,情報交換を行いながら震源決定の精度向上や地域防災の研究に取り組んでいます.

 
図1.東海大学の観測データから割り出した地震震央分布(2001年1月〜2002年4月)

 地球情報調査プロジェクトHP:http://www.tric.u-tokai.ac.jp/research2/jindex.htm

東海大学新聞掲載日

2002520  

 禁無断掲載 C 学校法人東海大学新聞編集委員会

戻る

Update: 2002.5.20
E-mail: kcho@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp