研究トピックス

デジタルカメラ画像を用いた展開画像作成システムの開発


 最近では,400万画素を超えるような高解像度のデジタルカメラでも数万円で購入できるようになるなど,高機能なデジタルカメラも非常に安価となり,広く普及してきています.このため,従来はアナログ写真が使われてきた,土木構造物の建設現場や文化財の保存修復現場においても,デジタルカメラ画像を用いて現状を記録するようになってきています.
 ダムの工事現場などでは,従来は切土法面を撮影した複数の写真を手作業で張り合わせ,できあがった展開写真を判読して地質調査を行ってきました.現在では,アナログ写真に代わり,デジタルカメラで撮影された画像が用いられてきていますが,展開画像の作成はフォトレタッチソフトを用いて手作業で行われており,時間がかかる上に,できあがった展開画像上で長さや面積の計測を行うことはほとんど不可能です.
 壁画などの文化財を保存修復する現場では,写真測量用の計測カメラで文化財の現状をステレオ写真として記録し,そのステレオ写真から図化機を用いて正射写真図を作成し,作成された正射写真図を基にして保存修復の計画を立案してきました.写真測量の技術を用いて作成される正射写真図は,利用目的を遙かに超える高い幾何学的精度を有しますが,写真測量の専門家でない文化財の専門家がこれを作成することはできません.また,現場での測量作業も必要であり,時間や費用をかなり要します.このような文化財の保存修復現場でも,デジタルカメラ画像が利用されてきています.
 土木構造物の建設現場や文化財の保存修復現場では,写真測量や画像処理の専門家でなくても,誰でも簡単に,デジタルカメラによって撮影された複数の画像から,地質調査や保存修復計画の立案などの目的に応じた,一定の幾何学的精度や画質を確保した展開画像を作成できるようなシステムが求められています.
 そこで,このような要求に応えるため,解析写真測量とデジタル画像処理技術を複合させたシステムを現在開発しています.このシステムでは,既存のアナログ写真の人手による処理に代わり,全工程をデジタル化し,半自動化処理で展開画像を作成することとしています.現在開発中のシステムで作成した,ダム建設現場の切土法面の展開画像の例を図1に,鎌倉時代の壁画の展開画像の例を図2に示します.

(松岡龍治)


 
図1 ダム建設現場の切土方面の展開画像 図2 鎌倉時代の壁画の展開画像
8枚の法面画像を接合した展開画像
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縦5枚×横6枚の画像から作成した展開画像
(クリックで拡大)

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