ホーム 最新情報 情報技術センター 画像情報応用 教育研究 データ FAQ アクセス サイトマップ リンク

WorldView-2データによるサウジアラビア紅海沿岸の中世の港域SJ06の発見について

アラビア半島北西部の紅海沿岸地域は,ヘレニズム時代に興隆する海洋交易やイスラームの宗教巡礼の道が深く関わった地として知られています。サウジアラビア・日本の合同調査隊は,そうした海上交易の主要港のひとつの可能性が考えられているハウラー遺跡とその後背地の調査に衛星リモートセンシングデータを用いたところ,WorldView-2データから特定した遺跡の有望地点において,中世の港域の可能性のある遺構及び遺物の分布を発見しました。同地点の港湾施設の存在に関しては,1980年代にサウジアラビアの調査隊が実施した試掘においても報告されておらず,この新たな発見から,ハウラー遺跡の全体像として港域と集落域に分化できる見込みが得られました。さらに,WorldView-2のDSM(Digital Surface Model:数値地表モデル)データからは,港域が形成された立地条件の推測も行うことができました。
この研究の基本となる手法は,当センター中心となり、エジプトの砂漠やナイルデルタに分布する王朝時代遺跡の調査で20年以上にわたり実績を積み重ねてきたリモートセンシングの応用技術をサウジアラビア紅海沿岸の港湾都市遺跡の調査に新たに応用したものです。紅海は地中海とインド洋を連結した場であることから重要な港湾遺跡が多く残されていることから、本研究で用いた手法が今後も紅海沿岸の港湾都市調査にも頻繁に応用されていくものと期待されます。

    
図1.Hawra遺跡の位置                         図3.SJ06地点の地表で発見されたトルコ石片など


図2.中世の港域SJ06の発見地点
図4.SJ06地点の地表に散乱する土器片・ガラス片